人物百景@たぶせ、第3話は、
田布施町でアルギット農業による農産物の生産、流通を担う『Grace Nature』の代表、中山 正成さんにお話を伺ってきました。
名前:中山 正成 (なかやま まさなり)
プロフィール:田布施町下田布施のご出身。
商社で国内外11年のキャリアの後、マンションの一室で1からIT企業を立ち上げた起業家(現在東証二部上場)
2016年に自身が心から惚れ込んだ”アルギット農業”による農産物の普及、流通を目的とした『Grace Nature(グレイスネイチャー)』を立ち上げ。業界の常識を覆す新時代の事業開拓にチャレンジ中。
GRACE NATURE (グレイスネイチャー)
住所:山口県熊毛郡田布施町大字下田布施3233-4
TEL:0820-26-4186 / 9時~17時 ※土日、祝日を除くhttp://www.gracenature.jp/
(聞き手・撮影・記事=田原)
※写真は一部中山さんからご提供をいただいておりますので、無断での転用はお控えください。使用をご希望の方はご連絡をくださいませ。
こちらは後編です。前編はこちら↓↓↓
自然の恩寵 IT企業家の泥だらけの挑戦〈Grace Nature(グレイスネイチャー) -中山正成さん〉≪前編≫【人物百景@たぶせ】 | 田布施の耳たぶ (tab-mimi.com)
”農産物規格“という垣根を取っ払う挑戦。100%信じられるものを

アルギット農業の強みとしては、とにかく
植物が強い
ことで、味わいだけでなく、長期輸送などに耐えられ、日持ちします。一つの個体もはち切れんばかりに大きくなりがちです。
一般的には大きくなった作物は大味で美味しくないというイメージがありますが、アルギット農業で栽培された作物は、ただ大きくなるだけでなく、中身も味もしっかりと充実しています。
しかし、現在の”農産物規格“においては、輸送車の容量や、梱包材の大きさ、また、店舗での陳列の事情などにより、
農作物の大きさが一律、小さいのは勿論、大きいものも規格外となってしまうという事情があります。
アルギットの他に、肥料も多く必要な農法ですから、規格という狭い枠組みでは農家さんの採算が合わない…
そうした事情を汲み取り、ちゃんと価値をつけて流通させるための仕組みを、IT企業設立のご経験とネットワークを活用して独自に開発されているのだそうです。
6次産業化にふさわしい、今までなら価値のつきにくかった作物の新しい流通網についても、中山さんが独自に模索されている、という状況なんですね。
アルギット農法で作られた野菜を取り扱う事は
『100%信じられるもの』
を扱える、気持ちのいい仕事であることが何よりの喜びだそう。
IT企業でのご経験の中には、仕事上どうしてもやらざるを得ない、自分の概念に反するようなものを取り扱わなければならないということもあり、
どこに出しても、誰が手にとっても自信を持って勧められることがそれ以上ない幸せ。
田原)惚れ込んだ商品に活路を見出すために働くって、カッコイイですね!!
中山さん)ハッハッハ! でしょ?!笑笑
本質的な価値とは? ものに宿る魂を全うする
とはいえ、多くの人が形が整ってキレイな農作物を好んで購入することを考えれば、小さなキズや痛み、形や色みによって商品にならない農作物が出てしまうのも現実。
そんな中、注目されているのが農業の6次産業化による、商品の加工販売です。
そういった思いから生まれたのがこのトマトジュース。特に、アルギット農業のように、生産コストがかかり、作物自体の価値が高い農法では、ひとつでも作物を無駄にしない施策が必要になります。


この、アルギット農業で作られた農作物をはじめて口にした時、電撃が走るような感動を覚えられたとの事でした。
自分で取り扱ってみたい。
そう思って流通網を開拓していく中で、目にしたのは”アルギット農業を諦めかける農家さんの姿”だったそうです。


アルギット農業を全国に
志高く、美味しい野菜を作ろうと思って取り組まれる農家さんであればある程、高い費用をかけて難しい農法を丁寧に行なっているにも関わらず、最終的には農産物規格という雑多な市場でいいものも悪いものもごちゃ混ぜにして、一律の値段で取引されている。。
そのような状況の中で、バカらしくなってアルギット農業を辞める農家さん、それでもいいものを作ろうと継続するも儲けが出ない農家さん。。
どっちもジリ貧で辛い選択になってしまうような、高い志がある方が損をするような構図は見てられないとの思いから、ご自身の様々なネットワークを通じて新しい流通網の仕組みを構築なさっているとの事でした。


中山さん):将来的には、GRACE NATUREの農家ネットワーク内の農家さんにアルギット肥料とノウハウの無償提供をして、そこで育った農作物を自分がフェアトレードで取引、農家さんにしっかり潤ってもらうシステム構築をして、農業チャレンジしたいなぁ!っていう若者が増えたらいいんだよなぁ~。
アルギット農業って、アルギットだけじゃなくて肥料も多く必要だから、実際にやってる方々もご高齢の方が多くて、現状後継者がいない農場がほとんどなんですよ。

ご自身が常に胸に秘めていた、魅力的な土いじりを実際にやってみて、自然と触れ合う感動や味わい深さ、また人間がこの自然に生かされている事を味わう中で、
高い志の持ち主が生計を立てられないような現状ではいけない。我々は自然によって生かされている事を忘れてはいけないとの熱き想いが胸に響きました。
一生懸命やってれば、いつの間にかとんでもない超有名人が常連になってくれて、大量に購入してくれたりするエピソードなども聞かせていただき、真摯なものづくりのストーリーはホントに美しく感動するなぁと強く感じました
アルギット農業と農村の未来、そして自分。
インタビュー終了後、農場にもご案内いただきました

葉が元気に力強く広がった作物たち!!


これから作物を育てる所に事前このような処置を施して、害虫や有害な微生物を熱消毒されている様子。これで、無農薬栽培をご実現になっているそうです。因みにかなりの重労働だそう。。
中山さんのお話からは、本質的な仕事のあり方をひしひしと感じました。
自分が心底惚れ込んだものを取り扱って仕事をしる幸せを語られるお姿から、これまで幾多の困難を乗り越えたからこそ辿り着けた境地で、更にご自身を顧みられず自分の生を全うしたいという強い想いを感じ取らせていただきました。
いずれ中山さんの想いに呼応して農業を志す沢山の方が、アルギット農業で自然の恩寵を受けながら田布施の地で自然との共生が実現され、新しい田舎暮らしの形が我がふるさとに形成されていくといいなぁと思います。

田布施のような農村においては今後の地域活性化の過程において、農業就労者も増えるでしょうし、農業+フリーランスな専門職のような、複業の可能性も十分に考えられるかと思います。
まちおこしに関する、新しいフェーズに移った時、このような魅力的な農業技術が地元にあるということは心底心強いことだなぁと思いますし、普及のために協力していきたいと思いました。
…というか、自分でやってみる。というのが一番手っ取り早いですよね!!
GRACE NATURE (グレイスネイチャー)
住所:山口県熊毛郡田布施町大字下田布施3233-4
TEL:0820-26-4186 / 9時~17時 ※土日、祝日を除くhttp://www.gracenature.jp/
※『人物百景@たぶせ』は、菊名池古民家放送局(https://www.kominka.tv)から暖簾分けを受けた、まちで生きる人々を取材して、まちをより深く知るためのコーナーです。
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