郷里は心に宿る 第二の人生を“最高“に生きる〈牛島の塩コーヒー ドラゴンカフェ – 久保竜彦さん〉≪後編≫【人物百景@たぶせ】

人物百景@たぶせ

人物百景@たぶせ、第8話は特別編。

塩コーヒーが自慢のドラゴンカフェ店主であり、元サッカー選手の久保竜彦さんにお話を伺うことができました。

名前:久保 竜彦(くぼ たつひこ)

プロフィール:福岡県のご出身で、現在は光市室積にご在住。

言わずと知れた日本を代表するサッカー選手。

現役引退後、一目惚れした室積に移住し、そこで出会った牛島の海水からとれる塩の魅力に取りつかれ、その塩で焙煎したコーヒーを主としたドラゴンカフェを運営しながら塩づくりや畑づくり、趣味の釣りを楽しみながら”気持ちいい場所”と称する室積で家族と暮らす。

更に、今でも全国を飛び回りサッカーを主体とした活動に精力的にご活躍中。

元サッカー日本代表の久保竜彦さんが光市でカフェ出店 自家焙煎コーヒー提供 – 周南経済新聞

元サッカー日本代表の久保竜彦さんが光市でカフェ出店 自家焙煎コーヒー提供 - 周南経済新聞

(聞き手=高月圭子さん“オンラインカフェいちにのさん“にて)

(撮影・記事=田原)

この記事は後編です。前編はこちら↓↓↓

郷里は心に宿る 第二の人生を“最高“に生きる〈牛島の塩コーヒー ドラゴンカフェ – 久保竜彦さん〉≪前編≫【人物百景@たぶせ】

久保さんと高月さんの対談動画 – オンラインカフェ『いちにのさん』

ドラゴン流子育て術

“ドラゴン“こと久保竜彦さん一家は奥さまと二人のお嬢さまとの四人家族。社会人となった長女はサッカーで一時ご活躍、次女は高校で全国随一のテニスプレイヤーとしてバッチリ“ドラゴン“の血を受け継いでいます。

高月さん):

(子どものスポーツ教育では)色々な事がありますよね。

久保さん):

思い通りにならないですからね。

高月さん):

ただ、大きくなった時にはその経験が肥やしになると思います。お二人の娘さんのご活躍を拝見して、どうやって子育てされたのかが気になりました。

子育ての中で、大切にしてきた事はありますか?

久保さん):

小さい頃から自分でやらせるというか、近寄りすぎず遠目から見守る。見守ってないと子どもは不安がるし。

出来るまでいくらでも待ったり、子どもが安心できるような顔の合わせ方だったり、そういうのしか気にしてなかったですね。

次の予定に遅れそうでも、靴紐を結ぶにしても自分で納得するまでやらせてあげる。

「これができるまで動かなーい!」と泣き喚いていても、それも近づきすぎず離れながら見守ったりしてましたね。

高月さん):まさに『親』という、“木の上に立って見る“という漢字そのものですね!

久保さん):??(指で書いてみて)ああ!ほんとだ!

高月さん):ついつい口を出したくなっちゃうんですよね。「早くしなさい!」とかね。

久保さん):自分が言われるの嫌ですしね。たぶん大方の人はそう思ってると思うから。

“ドラゴン“の経験を余す事なく伝えたいという想いを、“自分でやってみないと分からない“子どもの感情に寄り添う懐の深さでそっと包んで見守る“ドラゴン流子育て“。

ご自身が怪我で苦しんだ原因を体のケアが不足していたことに見出しつつも、それを強要することなく、

自分で気づくまで熱意を込めて見守り続ける。

何より、“自分がやられたら嫌なことはやらない“という芯の太さの中に、久保さんのお人柄を垣間見る事ができました。

原点となった幼少期の思い出

高月さん):

久保さんの温かい教育の原点は親御さんの影響ですか ?

久保さん):

両親は二人とも夜遅くまで働いていたので、見守ってくれた記憶もあるけど、当時は近所のおじちゃんおばちゃんにも色々教えられたり怒られたりしましたね。色々なことやってましたからね。笑

高月さん):

地域で子育てをするということですね?

近年はご近所づきあいも少なくなったりするけど、室積は気軽に声かけられる雰囲気があるし、久保さんご夫妻もその中に溶け込まれているのが印象的でした。

ちなみに、久保さんが育った故郷には海はあったんですか?

久保さん):

なかったですね。山とか畑ばっかり。

子どもの時は魚獲ったり、ちっちゃい猪捕まえたり。

久保さんが小さい時から慣れ親しんだ“田舎の家“のそばには海はなかったものの、

そこは自然の恵みに溢れ、田んぼでどろんこになって遊んだり、山の中を駆けまわったり。

そしてそこで育った野菜を口にして、自然の中で育ったものとそうでないものの味の違いなどにもその時すでに気がついていて、

やはり“その場所“の魅力に、既に気がついていたということなのでしょう。

自分のことも人のことも、何ひとつ思い通りになることはないからこそ、“自分の気持ちよさ“を純粋に追い求められるのかもしれないなぁと、久保さんのそんな自然な姿に引き込まれるようでした。

今後の”室積とサッカーと久保竜彦”

高月さん):

今後の夢はありますか?

久保さん):

囲炉裏やかまどのある家を自分で作りたいですね。

ちっちゃい頃から見てたのが、囲炉裏があったり、かまどや土間があって、風呂も薪で焚くじいちゃんばあちゃんの家が好きやったから、それがずっと頭に残ってて。

(引退して)サッカーがなくなった時に、戻りたいところがそこで。

じいちゃんばあちゃんの家はもう取り壊されていて無くなっていたけど、そこに居たい、戻りたいという想いで住むところを探してましたね。

高月さん):

幼い時のそうした体験は大人になっていざという時にエネルギーを発揮するんですね。

久保さん):

サッカーを辞めて、本当に何にも無くなった時でしたからね。自分はもう戦えないという何とも言えない感情になった時、一番最初に心に湧いてきたのが小学校の時のそういう体験だったし友達だったし・・・

だからたぶんそこが原点なのかなと。

子どもたちを教えるのも、サッカーするのもそうだし、自分は自分できっとそういう”気持ち良いところ”に居たいという想いがあるんだと思います。

大自然の中で、その田舎ででしか出来ない過程を経てのサッカー人生。

”戦う場所”に身を投じ、最も自分を表現できる人生を捧げ切ったそのステージに幕を降ろした時、自分が還りたいと感じた環境がまたその大自然の中の”気持ちいい場所“であったということも、

久保さんがいつでも自分の心に正直に、自然体で生きているからこそなのでしょうか。

お話を伺いながら私自身も、自然で気持ちのよい暮らしについて考え直す機会をいただいたようでした。

久保さん):

あと、今も週末は全国回って高校生くらいまでの子どもたちとサッカーをしてるんですけど、地元の子どもたちともサッカーやれたらいいなとは思ってますよね。

高月さん):

ワクワクしますね!!

この町は”最高”だ。

取材後のアフタートークでも、室積での貴重なご体験をたくさん教えていただきました。

室積には、暮らしに必要なものをそのあたりのものを組み合わせて作り上げる暮らしの達人がいるそう。

久保さん):

何でもできる”大将がいて。

そこにあるもんで何でもパパーッと作っちゃうんですよね。

大工だったり、漁師だったり、今はラオスに行ってそこのコーヒー農場で小屋作ってますよ。笑

そういう人が一人二人といて、そんな素敵な仲間と好きなことで協力し合って暮らすというとっても素敵な暮らし方。

久保さん):

その”大将”が沖の方まで船で連れて行ってくれるんですよ。それがめっちゃ気持ちよくて!

大将から「よし!今からや!今からいくぞ”!」

って言われたら、その場で仕事畳んで一緒に沖に出るんですよ。

天気とか潮の流れを読んでの判断だからいつも急なんですよね。帰ってくるのもいつか「分からん!」

やることなくなったら帰る感じでね。笑

その場にあるものを組み合わせて、自然の環境に合わせて生きる。

久保さんのお話を伺っていると、暮らしについて再考させられる思いがしました。

久保さん):

自分は体動かすしか勝負することがないから、

体を全部使って色んなことできるからこの町は、”最高”ですよね。

ジーコさんをはじめ、多くのサッカー関係者から『最高のセンターフォワード』と称された久保さんからこの地域のことを”最高”と言っていただけたことは素直にうれしいですね!

まさに体を使って作ってゆく自分たちの暮らしのカタチ。

どうやって過ごすのか、何を求めて何に魅力を感じるのかは人それぞれであり、

人それぞれ、その人にとっての”最高の場所”もまた然りだと考えます。

これまでの人生で純粋に自分の求めるもの、気持ちいいものに向き合ってきた久保さんだからこそ分かる自分にとって最も心地よい場所。

我々も自分に素直に向き合って、自分たちの暮らしの中に、そして心の中に、”最高”を築き上げていきたいものですね。

久保竜彦さん、この度は誠にありがとうございました。

元サッカー日本代表の久保竜彦さんが光市でカフェ出店 自家焙煎コーヒー提供 – 周南経済新聞

元サッカー日本代表の久保竜彦さんが光市でカフェ出店 自家焙煎コーヒー提供 - 周南経済新聞

※この度の取材は高月圭子さん主催のオンラインカフェ『いちにのさん』の対談を元にしたものです。

高月圭子さんの情報

Facebook : https://www.facebook.com/keiko.takatsuki.3

Instagram : https://instagram.com/t_keiko123?utm_medium=copy_link

※『人物百景@たぶせ』は、菊名池古民家放送局(https://www.kominka.tv)から暖簾分けを受けた、まちで生きる人々を取材して、まちをより深く知るためのコーナーです。

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